誰かと距離を置くことで楽になることは、たしかにある。連絡をやめたら少し気が楽になったとか、会わないことで自分を保てるようになったとか。そういう「離れることでしか保てない自分」もあると思う。
でも、時間が経っても、何かが引っかかったままの相手がいる。忘れようとしても、ふとした瞬間に思い出してしまう。夢にまで出てきたり、似た言葉や風景に触れたとき、胸の奥にチクリとくる。そういう相手がいるなら、ちゃんと向き合ったほうがいいんじゃないかと思うようになった。
それは、もう一度仲良くなるとか、元の関係に戻るとか、そういう話じゃなくて。「自分がどうしたかったのか」「何がずっと引っかかっていたのか」を確かめるような時間が、自分のためにも必要なのかもしれないという話だ。もしかすると、相手に何かを伝えたかったのに飲み込んだままにしていたのかもしれないし、言葉にしないまま誤解を広げてしまったのかもしれない。いずれにしても、「話すことすらもう無理」と思っていた自分のなかに、実は「本当はちゃんと話したかった自分」がいたことに気づいたとき、あのもやもやの正体がようやく見えてくる。
向き合うって、何もドラマみたいに劇的なことじゃなくてもいい。ただ、あのときの自分の本音に耳を澄ませるだけでもいい。それでももし、相手に話したいことがまだあるなら、それを言葉にして届けてみる。結果がどうであれ、それでようやく、次の自分に進めるような気がしている。